問題の所在と方法

吉見義明名誉毀損裁判東京地裁判決についての共同通信記事(『日本経済新聞』2016/01/21朝刊(14版 34面社会)等が掲載)は原告を【従軍慰安婦問題に関する著書を「捏造(ねつぞう)」と言われて名誉を傷つけられた】とする【著者の大学教授】と呼んでいる[*1]


渡部昇一藤岡信勝のごとき【慰安婦問題に関する】与太本量産文筆業者であれば【著書の大学教授】で充分であろうが, 日本軍「慰安婦」制度研究を先頭に立って切り拓いてきた吉見義明先生を【著書の大学教授】とのみ説明するのは不充分と思われる. 歴史研究者としての業績を【捏造】呼ばわりされたことが争点の裁判についての, このような報道は, 被告=桜内文樹前衆院議員側に寄り添う悪意すらを窺わせる[*2]


日本軍「慰安婦」制度研究以前の吉見義明先生の論考, 及び吉見義明著書への書評を国会図書館NDL-OPACで検索し以下に紹介してみよう


雑誌論文

*1:共同通信配信記事⇒id:dempax:20160122参照

*2:被害の拡大に配慮して原告の属性を曖昧にする報道も一般的には有り得るが, この裁判では原告が表に出ており, 現代史研究者であり日本軍「慰安婦」制度研究の第一人者であることを曖昧にすることは【原告への配慮】となり得ないだろう

江口圭一編『体系・日本現代史1/日本ファシズムの形成』日本評論社,1978/11/30【K3A 210.7//TA22】


目次


江口圭一「1930年代論」


吉見義明「満州事変論」


木畑洋一「日本ファシズム形成期における国際環境-中国侵略への国際的対応を中心として」


安部博純「急進ファシズム論」


芳井研一「日本ファシズムの形成と軍部・官僚」


広川禎秀「反ファシズム運動論」


粟屋憲太郎「ファッショ化と民衆意識」


Asin:B000J8KTVI

吉田裕・吉見義明編集解説『資料日本現代史10 日中戦争期の国民動員(1)』大月書店,1984/04/23

目次


I. 国家総動員計画


II. 国民精神総動員


III. 治安維持・世論指導


IV. 軍の動員をめぐる諸問題


V. 在郷軍人


VI. 経済警察


ISBN:4272501100

吉見義明・吉田裕・伊香俊哉編集解説『資料日本現代史11 日中戦争期の国民動員(2)』大月書店,1984/08/30

目次


I. 日中戦争をめぐる政治状況


 (1)日中戦争下の各府県政治情報


 (2)新体制運動期の警視庁政治情報


 (3)新体制に対する各方面の意向


 (4)斎藤隆夫宛書簡類


 (5)風早章日記


II. 日中戦争期の民衆状況


 (1)軍管内の思想情勢


 (2)国民各層の動向と意識


ISBN:4272501119