「ごはん実験」考

知り合いの編集者に聞いた話ですが, 今売れている本は, すぐにやせる, すぐに金持ちになる, すぐに英会話ができるような本だそうです. つまり困難な目標をいかに簡単にできるかです. しかも実際は胡散臭い内容で, 実現できていないことが多いのです. これは, まるでTOSSのようではないでしょうか.


向山氏は, 5点, 10点しかとれない子どもを90点, 100点とれるようにした, といわれるのは, まさにそのような胡散臭さそのものです. いろいろな方法がありますが, 学問には王道はありません.


また, 問題解決学習では, 子どもたちが学習内容を構築していきます. 水に声をかけて凍らせても, 何の意味のないことが, 授業で実証されます. TOSS型の授業では, 学習内容は教師が規定し, それを子どもに注入していくだけです. 子どものクリティカルな目を奪っていきます. それだけにたいへん問題だと思っております. このような教育的(初等教育)的な背景があることもご理解いただければ, TOSSの授業内容がご理解しやすくなると思います.

【TOSSウォッチング掲示板 投稿No.[305]http://www.cm.kj.yamagata-u.ac.jp/bbs02/list.php

2006年3月 第61回物理学会年次大会(愛媛大学松山大学)
(「物理と社会」分科シンポジウム)「ニセ科学」とどう向き合っていくか? http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/events/JPSsympo0306.html

ここで「ニセ科学」とは, (科学と擬似科学の境界付近にある位置づけの微妙な営みのことではなく)科学的に誤り(ないしは無意味)であることが明白であるにもかかわらず表面上は科学を装っている営みを指します. 「ニセ科学」は, 物理学の研究にはほとんど何の影響もないでしょうが, 広い意味での科学教育を考えたとき強い影響力をもつおそれがあると考えています.

2006年3月30日(学会最終日)午前9時から

プログラム

田崎晴明(学習院大学理学部物理学教室) http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/halJ.htm
はじめに --- 科学と「ニセ科学」をめぐる風景 15分(質疑なし)


菊池誠(大阪大学サイバーメディアセンター大規模計算科学部門 兼 大学院理学研究科物理学専攻 兼 大学院生命機能研究科) http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/
ニセ科学」入門 30分(質疑10分)


天羽優子(山形大学理学部物質生命化学科複雑系物質学研究グループ) http://www.cm.kj.yamagata-u.ac.jp/index.html
「水商売ウォッチング」から見えたもの 30分(質疑10分)


休憩10分


池内了著書一覧(紀伊國屋書店BookWeb)
ニセ科学」の社会的要因 30分(質疑10分)


討論と全体への質疑応答 30分

提案趣旨(物理学会に提出したもの)
科学と非科学の境界がどこにあるかというのは, 長い論争の対象とな っている難問である. この問いには決定的な答はないのであるろうが, いずれにせよ, このシンポジウムのテーマはそのような「線引き問題」ではない.

科学の成果の最良の部分がほとんど疑う余地なく真実に近いのに対応し, 一部の「科学」を装った言説はほとんど疑う余地なく何の根拠もないニセモノである. そういった「ニセ科学」は, 多くの場合, 営利活動と結びついており, 科学的であると思わせるような言説を用いることで, おそらくは意図的に, 科学に無知な人々を欺こうとしているように見える. 大手電機メーカーやマスコミを巻き込んだ「マイナスイオン」 なるものをめぐる騒動は記憶に新しい. また近年では, たとえば「水に優しい言葉をかけると美しい結晶ができる」とする, いわゆる「水からの伝言」が, 小学校の道徳 教育の現場にまで使われるといった事態がおきており, 「ニセ科学」の社会的影響力は相当に大きなものになっている.


このシンポジウムでは, そういった「ニセ科学」にターゲットをしぼり, いくつかの事例を紹介し, またわれわれ物理学者が「ニセ科学」といかに向き合うべきかを議論 する.


シンポジウムの目的は単なる「ニセ科学」叩きではない. たとえば, 「マイナスイオン」はきちんとした定義すらされておらず, 我々物理学者にとってはナンセンスな言説にすぎない. しかし, 「マイナスイオン」を信じた人々はあれを「科学」として受け取ったからこそ信じたのである. その点で, 単なるオカルトのたぐいとは本質的に異なることを理解しなくてはならない. 「ニセ科学」は単に科学の仮面をかぶっているだけでなく, 一般社会に「科学」として認知されているのである. 下世話に言うなら, 「科学」と「ニセ科学」とは同じ市場を奪い合う関係にある. そのような「ニセ 科学」といかに直面し, それらにいかに対応するかということは, 科学を学び, 研究し, 教育する者にとって, 重要な意味をもっている. なぜ(理科系の教育を受けた人までを含む)多くの人々が「ニセ科学」に引き寄せられるかを考えることで, 科学の教育, 啓蒙, 研究のあり方についても多くを学ぶことができるはずである.


ニセ科学」を正しく批判できるのは科学者だけである. そのような批判を展開していくことは, 科学者が社会に対して果たすべき重要な責任のひとつであろう. 多くの 「ニセ科学」の主張が主として物理現象にかかわるものであることを鑑みるなら, 中でも物理学者が果たすべき役割は大きいはずである.


ニセ科学」の現状を知り, それらにどのように向かい合うべきかを考えることは, 広く物理学会会員全般にとってきわめて有益であると考え, このシンポジウムを提案する.


via kikulog http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/ 2005/11/26 AERAに批判記事が出ます
事象の地平線 http://www.cm.kj.yamagata-u.ac.jp/blog/index.php 2005/11/25 AERAに「水からの伝言」批判が出る 2005/11/29 昨日発売のAERAに「水伝」批判が出た

AERA』2005/12/05≪点検しまんしょん≫号 http://opendoors.asahi.com/data/detail/7075.shtml



山形大学理学部物質生命化学科 http://www.cm.kj.yamagata-u.ac.jp/index.html



二村真由美 あなたは「水」に答えを求めますか,疑似科学が蔓延する日本社会から見えるもの(『世界』2005/07=jpg版) http://homepage3.nifty.com/oniyuri/sub05.html



水からの伝言」関連リンク集-選定版 http://www.geocities.jp/mizo4560/mizu/mizu001.html



7635log|水からの伝言 http://7635log.mizo4560.zombie.jp/?cid=2680





■ 民間版『こころのノート』

季刊『ひろば・京都の教育』2003/03 ■「心のノート」の扱われ方■ 集められた「一万人アンケート」 京都市 「心のノート」考える会 http://www.kyoto-kyoiku.com/hiroba2/hiroba133/annkeito.htm
ibid. 解読「心のノート」宗教学からの検討 「心のノート」の欺瞞性と危険性 -「畏敬の念」(宗教的情操教育を中心に) - 加藤西郷 http://www.kyoto-kyoiku.com/hiroba2/hiroba133/saigou.htm

ibid. 2002/11 No.132 特集 追いつめられる子ども? 「心のノート」から見えてくるもの http://www.kyoto-kyoiku.com/hiroba2/hiroba132/hiroba132mokuji.htm


『心のノート』とあぶない「心の教育」を許さない!京都府民集会 2002/09/29 http://www.syuppan.net/kyoto/s2-kokoro-01.htm
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講演 「心の教育」の危険性 野田正彰
京都市の教育の状況(京都市職員組合・得丸浩一さん)
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■ 熱力学/統計物理講義ノート

川勝年洋HP http://www.cmpt.phys.tohoku.ac.jp/~kawakatu/




水からの伝言』寸評集ver.0.0a(とりあえず税込み360円で手に入る『AERA』は小見出しのみ)

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