「白バラ展」- ヒトラーに抵抗した学生たち -

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共立女子大学HP http://www.kyoritsu-wu.ac.jp/daigaku/
総合文化研究所 http://www.kyoritsu-wu.ac.jp/sobunken/
展示 http://www.kyoritsu-wu.ac.jp/sobunken/tenji17.htm

場所 神田一橋キャンパス 本館 1階ロビー http://www.kyoritsu-wu.ac.jp/daigaku/kanda.html

期間 2005年5月30日(月)-6月16日(木)

展示主催者 早稲田大学人間総合研究センター・「危機と人間」プロジェクト
代表責任者:村上公子教授(早稲田大学人間科学部教授)

趣旨

本年度は「日本におけるドイツ年」ということで, ドイツにおけるさまざまな文化的催事が開かれる. 本展示もその一環であり, ドイツの歴史にかんする啓蒙的な移動(各大学)展示プロジェクトである.

「白バラ」とはミュンヒェン大学の学生たちによる反ナチス抵抗運動の呼称である. そのリーダーの一人であるゾフィー・ショル(逮捕され刑死した)は女子学生であった.

抵抗の非イデオロギー性, 純粋性は, 現代においても「責任ある市民(国民)とは何か?」を考えさせる展示内容となっている.

本学において展示をおこなうことで, 教職員特に学生たちはドイツの歴史の今まで知らなかった側面をヴィヴィットに感じ, 理解してもらいたい.
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2005/2006 日本におけるドイツ http://www.doitsu-nen.jp/index_JA.html
ドイツ年2005/2006 http://www.doitsu-nen.jp/DEU_JA.html
催し物 http://www.doitsu-nen.jp/VER_JA.php?category=* として全国を巡回する.

主催者のことば
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現在のドイツで「白バラ」の名を聞いたことのない人は殆どいないと言ってよいだろう. メンバーの一人ゾフィー・ショルは, 女性として初めてドイツの偉人の殿堂ヴァルハラ入りという顕彰を受けたし, 2005年には新たに制作された『ゾフィー・ショル - 最後の五日間』という題名の映画も公開される. (この映画はベルリン映画祭の監督賞および主演女優賞を獲得した. )

「白バラ」はしかし, 自然にこれほど有名になったわけではない. 部分的には第二次世界大戦直後から, そして, とりわけ1980年代後半以降, グループの関係者および遺族たちは「白バラ」と呼ばれる人たちがどのような人間で, 何を考え, 何を求めて行動したのかを, ドイツ内外の社会に誤解のない形で伝えたいと, 粘り強く熱心に活動を続けてきた. その成果の一つが, 「白バラ」展示である. この展示は現在, ミュンヒェン大学本部棟の半地下にある「白バラ記念室」に常設で展示され, 見学者に開放されている. この「白バラ」展示から簡易版の巡回展示版が作製され, こちらは例年, ドイツ内外の複数の都市に送られて, 巡回先の人々に「白バラ」の姿を伝えている. 日本におけるドイツ年に合わせ, この「白バラ」巡回展示版を日本の複数の都市で, 大学を中心に展示し, なるべく多くの若い人たちに見て貰いたいと考えた.

巡回展示は全体がA0パネル47枚で構成され, パネルのほぼ半数が写真, 残りがテキストである. 展示は印象的な写真と, 簡潔な文章により, ナチ・ドイツ社会で成長していく学生たちが, 支配体制に対する精神的な反発から「消極的」抵抗を経て, 「積極的」抵抗を決意する経緯を分かりやすく伝える. と同時に, 白バラの学生たちの「抵抗」に対する, 政権側の有無を言わさぬ厳しい報復を示し, 両者の間の断絶と対立を明確にしている.

この展示によって, 日本の大学生諸君が「全体主義」体制下のドイツに命がけで抵抗を試みた若者たちが存在していたことを知り, 彼らは何故そのように行動したのか, せざるを得なかったのかと疑問を持ち, それぞれに答を求めて考え始めてくれれば, 主催者の願いは半ば以上満たされたことになる.


過ぎ去らない?「過去」-「白バラ」

日本政府の国連常任理事国入り表明に対して, 韓国や中国から強い反発の声が上がり, 中国での激しい反日デモのきっかけにもなりました. また, 訪独した韓国大統領が日本と対照する形でドイツの「過去」との取り組みを称揚したことも報道されました.

同じ側で第二次世界大戦を戦ったにせよ, 日本とドイツは全く別の地理的, 歴史的, 政治的環境にある別の国家であり, 軽々に並列して比較すべきものではありません.

しかし, 戦後のドイツ連邦共和国で「ナチズムの過去」への反省をこめた取り組みが広く, 多様な形で行われ, その質と量には驚かされることも事実です.

早稲田大学人間総合研究センター「危機と人間」プロジェクトでは, 早稲田大学オープン教育センター, 同テーマ・カレッジ「ワンダーランド・ジャーマニー」, 「二十世紀文化研究」と共催で, ドイツ, ミュンヒェンの白バラ財団が作成した「白バラ」展示を, 解説部分を日本語に翻訳して, 学内外の学生, 教職員, 一般の方の展覧に供することにしました.

「白バラ」はヒトラー政権下のミュンヒェンで反体制運動を試みた, 大学生中心のグループです. 彼らの事跡は, 世界的危機の時代に生きた若者が国家の危機と個人の危機をどう理解し, いかに対処しようとしたかを見事に見せてくれる, と考えたからです.

と同時に, 民間の財団がこのような形で啓蒙活動を続け, やがて公的にも認められた, という事実に, ドイツの「過去」への取り組みの一端を見ていただきたいと考えています.
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ついでに

白鴎大学 清水正http://www.geocities.jp/dasheiligewasser/
小泉首相靖国参拝は許されるか http://www.geocities.jp/dasheiligewasser/historyeducation/Yasukuni.htm
異ならない悲劇 日本とドイツ 西尾幹二氏の所論に寄せて http://www.geocities.jp/dasheiligewasser/essay1/essay1-6.htm

Sorry State / 謝罪し続ける政治家たち

つくる会」趣意書 [*1] を参照されたい.

以上, id:demian 5月初めの記事(および id:gachapinfan 3月記事)への応答に替えて.

謝罪し続けるのは誰で, それは何故か?

*1:小林よしのり責任編集『新しい歴史教科書を「つくる会」という運動がある』=扶桑社 1998/11/30 isbn:4594026052 Book-Off価 100+税 pp.8

宿題

id:s_kotake 御指摘事項

中国現代史といっても手元にあるのは 『毛沢東軍事論文選』(北京外交出版 古書価 100.-),『原典中国近代思想史 56*1 - 国共分裂〜解放戦争まで』(岩波書店 1976/12/23 古書価 300.-),『平凡社ドキュメント現代史9 中国革命』とあとは 文革に関する 丸山昇, 新島淳良 ほか で その前にあたる≪愛国無罪≫は みつからない. 『原典中国近代思想史 4 - 5・4運動〜国民革命まで』を古本屋に捜すも,いざ捜してみるととみつからないものだ*2.

 

*1:誤記訂正 06/04

*2:古本探しの第一法則