今日の古本/『日本人として初歩的な常識すら欠いている』人々

たまたまみつけた古本屋で 板垣正『声なき声 250万英霊にこたえる道』(原書房 新書版 1978/10/01)を購求. 1966年から1978年までの靖国をめぐる問題の時評となっていて,けっこう面白い本, 古書価 100円也.

序にかえて

「声なき声」は私の勤務する財団法人日本遺族会が発刊している機関紙・日本遺族通信(月刊・18万部)の「声なき声」欄に掲載した文章に,今回,見出しをつけてまとめたものである. [snip]

推薦の言葉

石田和外 元最高裁判所長官英霊にこたえる会会長

著者「板垣正」氏*1は,故板垣征四郎大将のご遺児である. 1957年*2以来,財団法人日本遺族会に在ってその進展と共に歩みつつ,ご遺族たちの生活伸暢や英霊の顕彰のことに黙々と専念し, 殊に1972年*3以降はその事務局長として問題の衝に当られた. [snip]

1975/05/15*4池田大作氏の非常識」の標題の文章より前半を引用.

「週間*5朝日」は "秘められた往復書簡"と題して,松下幸之助氏と池田大作氏の問答を連載しているが, 同誌の5月2日号では「靖国法案」をめぐる問題がとりあげられている.

この問答で池田氏は「二度と戦争をおこさない決意を実行することが英霊に対する真の供養」とのべ「靖国法案」に反対し,外国元首の表敬訪問にも不賛成としている. 松下氏は「靖国法案は英霊をいかに祀るかということについて国民一人ひとりが率直に考えて結論を出すべきだ」と主張している.

ところで,池田氏の回答を読んで唖然とした.「(戦争その他の国難に殉じた人々を祀る施設を)新たにつくるという考えにしても問題が数多く出てくるでしょう. たとえば靖国神社に納められている240万余の方々の遺骨を移動するなどということは事実上不可能ですし……」(原文のまま)の部分である. 池田大作氏は,靖国神社に遺骨が納められていると信じているらしい. 神社とお寺の区別もつかないのだろうか. 日本人として初歩的な常識すら欠いているとなると, その見解にも多分の疑念をもたざるを得ない. 池田大作氏が何百万世帯の宗教団体の会長であることを思いあわせると全く笑いごとではない. [以下,省略 太字強調は引用者による]【板垣正『声なき声 250万英霊にこたえる道』p.135-136】

関連: id:noharra:20050418#c 経由 id:drmccoy:20050412 および id::dempax:20050420#p2 , 高橋哲哉靖国問題』(ちくま新書No.532 2005/04)pp.71 (id::dempax:20050421 ) 経由 小泉首相のお言葉

日本人の国民感情として,亡くなるとすべて仏様になる. A級戦犯はすでに死刑という現世で刑罰を受けている. [中略] 死者に対してそれほど選別をしなければならないのか (朝日新聞,2001年7月12日)

讀賣おんらいん 2005/05/20 日本遺族会が存亡の危機,戦没者の妻86.8歳に http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20050520it15.htm

国政選での集票力の低下も目立つ. 参院では, 遺族会出身の板垣正議員(当時)は80年の全国区で約92万票を集めたが,04年の比例選では選挙制度の変化もあって水落敏栄議員は約17万票にとどまった.

板垣 正 (いたがき ただし) 大正13年7月1日生まれ. 1939年*64月仙台陸軍幼年学校入校. 1945年*73月陸軍航空士官学校卒(第五十八期). 1955年*83月中央大学法学部卒. 1957年*92月財団法人日本遺族会勤務. 1980年*107月参議院議員(全国区). 1998年*117月任期満了引退(三期18年在職). 沖縄開発政務次官, 内閣委員長, 自民党総務等を歴任. 現在日本遺族会顧問. 【http://tendensha.co.jp/syakai/syakai181.html 】元共産党員【 http://www.kinyobi.co.jp/KTools/fusoku_pt?v=vol520

英霊にこたえる会 http://www.eireinikotaerukai.net/

全国戦友会連合会 http://www.senyu-ren.jp/

偕行社 http://www13.ocn.ne.jp/~kaikosha/

財団法人日本遺族会 http://www.nippon-izokukai.jp/

厚生労働省所管公益法人 http://www.mhlw.go.jp/general/seido/hojin/index.html
日本遺族会 http://www.mhlw.go.jp/cgi-bin/hojin/view.cgi?id=engo02


250万柱の英霊(『声なき声 - 250万英霊にこたえる道』)に対して,遺族会の機関紙(月刊)が 18万部(1968年当時) 思っていたほどには大きくもない.


 

*1:"「板垣正」"は原文ママ

*2:原文は元号使用

*3:原文は元号使用

*4:原文は元号使用

*5:原文ママ

*6:原文は元号使用

*7:原文は元号使用

*8:原文は元号使用

*9:原文は元号使用

*10:原文は元号使用

*11:原文は元号使用