【海賊版】東京新聞 2014/05/25 (25面[特報]本音のコラム)


山口二郎

むしろ翼賛議会を


安倍政権が集団的自衛権行使を容認する方向性を示して以来,各界から解釈改憲に反対する声が上がっている. 原発再稼働や基地の騒音をめぐっては,地方裁判所のレベルではあるが政府の責任を厳しく問う判決が出された. 裁判官,宗教家,学者などさまざまな分野の専門家が,日本の世の中に対して勇敢に異議申し立てをしているのである



それと全く対照的なのが,政界における野党である. 先週は,日本維新の会のトップ会談で,野党再編に向けた合意が図られた. 民主党では「代表選挙の立候補要件を緩和せよ」という運動が始まり,これは海江田万理代表降ろしにつながるかもしれないと報じられた. まさに,いまの野党につける薬はない



現在の政党政治は,一強多弱と言われる. それは数の面だけではなく,知的能力についても言えることである. 戦後の政治体制の根幹をめぐる論争が始まろうとしているとき,これに参戦せず内輪の主導権争いにうつつを抜かすなど,言語道断である. こんな重要問題に党としての見解を打ち出して政府与党に対峙できないから,一強多弱なのである



いっそのこと野党は解散して一度翼賛議会をつくればよい. 国会に自民党しかないという状況が出現すれば,自民党内でリベラル派が党を割る踏ん切りがつくというものである





【半分だけ書いた】 投降 強権政治への加担の薦めを拒否するために…id:dempax:20140526

関連図書


吉見義明・横関至編解説『資料日本現代史4/翼賛選挙1』大月書店,1981/01/29[*1]



吉見義明・横関至編解説『資料日本現代史5/翼賛選挙2』大月書店,1981/03/24



赤澤史郎・北河賢三・由井正臣編解説『資料日本現代史12/大政翼賛会』大月書店,1984/12/07



国民精神総動員資料第四集 文部省『日本精神の発揚/八紘一宇の精神』id:dempax:19371110




*1:1942/04/30 第21回衆議院総選挙の資料集