菊池章子【星の流れに】

1947年10月


清水みのる・作詞


利根一郎・作曲【*A】



【1】


星の流れに身を占って


何処をねぐらの今日の宿


荒む(すさむ)こころでいるのじゃないが


泣けて涙も 涸れ果てた *1


こんな女に誰がした



【2】


煙草ふかして口笛吹いて


的(あて)もない夜のさすらいに


人は見返るわが身は細る


町の灯影(ほかげ)の侘しさよ


こんな女に誰がした



【3】


飢えて今頃妹は何処に


一目逢いたいお母さん


唇紅(ルージュ)哀しや唇かめば


闇の夜風も泣いて吹く


こんな女に誰がした



【出典】『別冊一億人の昭和史[79増補版]昭和流行歌史』毎日新聞社,1979/01/01 p.143



1947/10 テイチク C484A【*B】


1949 山本薩夫監督『こんな女に誰がした』【*C】


1950/10 テイチク C3105A 再発売C484A


オリジナルSP/字幕版 解説訂正要*2 http://m.youtube.com/watch?v=Xa0Jl71N7ag


菊池章子(字幕版/2番省略) http://m.youtube.com/watch?v=n2zA0cxabc0


菊池章子1978 http://m.youtube.com/watch?v=iZ-IB-CJmNU


藤圭子 http://m.youtube.com/watch?v=puu5BxtnRaI

*1:涸れ→「涸」=正確には「次」偏に旁は「周」

*2:松竹→東横映画/大映配給,主題歌→挿入歌

此処までの探索の流れ[*1]


【*A】『別冊一億人の昭和史[79増補版]昭和流行歌史』毎日新聞社,1979/01/01を探すと『星の流れに』が見つかる

【p.143】 楽譜・歌詞


作詞: 清水みのる
作曲: 利根一郎


(写真説明)21〜25歳が大半を占める「夜の女」有楽町のガードの下に彼女らの紫煙がたちこめた(1946年9月)

【p.140】世相と歌謡界の動き


1947年レコード統制価格35円に…テイチクから『星の流れに』(菊池章子歌)発売


【*A'】手掛かりが歌詞冒頭だけの場合、例えば、矢沢保et al.『日本流行歌史』社会思想社,1970/9/30 巻末の【歌い出し索引】'星の流れに身を占って…'⇒p.347に歌詞掲載


【*A''】楽譜がほしい場合は、全音楽譜出版社『歌謡曲1000』(『赤い本』『緑の本』)から探す、または、全音謡曲全集の索引から『歌謡曲全集』該当巻・頁を探す




【*B】辞典類並べた棚に(B1)村越光男・佐藤孝夫昭和歌謡全曲名(戦後編-昭和流行歌総覧索引)』つげ書房新社、(B2)加藤正義編『昭和流行歌総覧』柘植書房新社,2001/10/15を見つけたので使ってみる


索引昭和歌謡全曲名(戦後編)-昭和流行歌総覧索引


総覧昭和流行歌総覧 戦後編


『索引』'星の流れに'⇒「p.49 菊池章子 1947 テイチク」「p.158 菊池章子 1950 テイチク」で『総覧』掲載頁,レコード発売年,会社が分かる 『総覧』該当頁に編曲者が大久保徳二郎,東横映画『こんな女に誰がした』に使われたとある


【*C】聞き慣れない東横映画?の『こんな女に誰がした』を調べたいが辞典類適当な本がないので芸術>映画の棚に移動して適当な本を探すと『講座 日本映画』(全8巻)岩波書店がある


『講座 日本映画 総索引』isbn:4000102583


『講座 日本映画 5 戦後映画の展開』isbn:4000102559


総索引より『戦後映画の展開』p.172 - p.216 新藤兼人「[日本シナリオ史5]戦後映画のうねり」に東横映画と山本薩夫監督『こんな女に誰がした』の記述を見付けた


レコード発売日と映画公開日について別途新聞広告で確認する必要があるだろう


映画公開1949年から【映画公開⇒挿入歌大ヒット】モデルで考えると、流行ったのは1950年頃と推定できるが、当時のドキュメントなりレコード・映画関係者の自伝・評伝で確認したいところだ(2014/01/19 追記 遠藤憲昭『流行歌と映画でみる戦後の時代1』矢沢寛『流行歌気まぐれ50年史』によればレコード発売の半年後に大ヒット=1948年となる)

山本薩夫監督『こんな女に誰がした』公開日について(以下、2014/01/19追記)


1949年の朝日新聞縮刷版を探す(当時の朝日新聞は通常2頁、土曜日は4頁、正月は8頁)


映画『こんな女に誰がした』新聞広告(抄)


【1949/06/27(月)】


本日より一斉公開『どぶろくの辰』


『こんな女に誰がした予告篇』同時上映



【1949/06/28(火)】


『こんな女に誰がした』四日封切!伊藤武郎企画/山本薩夫監督/岸旗江主演『戦争と平和』のスタッフがはなつ問題映画/大映配給/東横大作



【1949/06/29(水)】


男の罪が許されてただ一回の女の罪が何故攻められねばならないのか! 四日封切 問題の東横映画『こんな女に誰がした』大映配給



【1949/07/02(土)】


東横作品大映配給『こんな女に誰がした』


暴力に汚された女の肉体の悲劇 問題映画・四日封切 伊藤武郎企画 山本薩夫監督 岸旗江主演


【1949/07/03(日)】


(3面)問題映画/明日封切/東横作品…『こんな女に誰がした』


(4面) 東横映画『こんな女に誰がした』映画の感激をレコードで!!


清水みのる・詞 平川浪竜・曲
淡谷のり子…わたしに罪があるでしょか
菊池章子……かりそめの夢


推薦ヒットソング
☆かよい船…田端義夫
☆母恋梅の歌……菊池章子
☆君忘れじのブルース…淡谷のり子
☆おけさ盆踊り…勝太郎・田端


テイチク楽しいレコード

【1949/7/4(月)】


本日より一斉公開/銀幕に叩きつける問題の映画登場/東横作品/大映配給

こんな女に誰がした


(企画)伊藤武
(脚本)八木保太郎,棚田吾郎,舟橋和郎
(監督)山本薩夫
(撮影)木塚誠一
(主題歌)テイチク


岸旗江


伊豆輩


沼崎勲


千石規子


英百合子


賛助出演(民芸)宇野重吉,清水将夫,瀧澤修


同時上映『大江戸七変化予告篇』


浅草電気,江東劇場,新宿大映…荏原大映,五反田東横,飛行館東横,…



出演者名前(新聞縮刷版では潰れて読めない箇所あり)については


山本薩夫『私の映画人生』新日本出版社,1984/03/15 [*1]


を参照し及び辞典類棚にある


キネマ旬報社編『日本映画人名辞典』(男女篇各上下)キネマ旬報社,1996/10


を確認した


辞典類他に


佐藤忠夫編『日本の映画人/日本映画の創造者たち』,2007/06/25

日本の映画人―日本映画の創始者たち


p.660⇒山本薩夫略歴等


AVエクスプレス『DVDレビュー特別編集映画大全集増補改訂版』メタモル出版,2003/1/1


映画大全集


p.1161⇒『こんな女に誰がした』あらすじ


野戦看護婦が敗戦の混乱時に将校に犯されたことで、一緒になった夫から冷たくされる。そんな折り、元将校に再会、男を刺す。山本風メロドラマ


⇒次の記事へ続く
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*1:この自伝では1948/8/19組合指導部自発的退職後、氷屋は冷夏のため上手くいかず、東宝争議の解決金を基に『暴力の街』=1950/2月公開=制作〜1950/4新星映画社設立と進んで『こんな女に誰がした』には触れていない