朝日新聞1981/03/23 夕刊15-1

ナウ!!はかま


    卒業式に流行のきざし

足さばき軽やか 女の時代を主張

この春 東京の街に着物にはかま というクラシックスタイルの若い女性が目立っている. 卒業式の女子学生たち. 昨年あたりから人気が出始め,今年になって急上昇だ. デパートの貸衣装コーナーには注文が殺到 売り場での売れ行きも予想を大きく上回り 追加仕入れを繰り返すほど. ファッション関係者も「新風俗としてほぼ定着したようだ」という


【写真3段 説明 振り袖なんかより素敵よ 卒業式季節に目立つはかま姿=東京新宿駅西口で】


はかまの製造・卸業者の第一衣料(本社 東京日本橋)も上機嫌「昨年より2割は確実に伸びている 何処に行ったら置いているか 等の問合わせも多い。来年以降も伸びる見込み十分」と意気込む


実践女子大,お茶の水女子大など,はかま姿が昔からの伝統という大学もある しかし今もその他の大学,短大はもちろん洋裁学校などの卒業式にもはかまスタイルが広がっている 基督教系の上智大学でも「数年前から増えています 昨年は女子学生の1割弱がはかまでした 今年は日が卒業式ですが多分昨年よりかなり増えるのでは」という


ところでこの人気急上昇の理由だがNHKの連続ドラマ「虹を織る」のヒロインのはかま姿に憧れた向きも多い。新宿区の保育専門学校生 梅川奈緒美さん(20)は「TVを観てきりり としていていいなぁと思って」という その一方で「女性の主体性主張の一つとして」という声もある 世田谷区の短大生(20)は「和服は着たい でも振り袖何かだと女らしさを強調させられているようで嫌 はかまだと自分の主体性をある程度守れる感じ 歩くのだって裾を気にしなくていいしぃ」(記事原文まま ではありません)という


女性誌『NON NO』編集部のファッション・チーフ 愛甲照子さんは「ファッションの回帰ですね 戦前の女学生スタイルが今は新鮮 何か差を付け目立ちたいという女心にあい大正ロマンのムードにも浸れる 10年ほど前から出て来ていましたが このところ風俗として定着したようです」と言っている



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東京朝日新聞 1915/3/13(大正4年) 5面-5段 卒業しても嫁には行かぬ 卒業はしても嫁には行かぬ 呉服屋の宛違ひ id:dempax:19150313