新刊書色々

1992年から20周年で出たブックレットになかなか辿り着けずにいる。ゴミ屋敷の何処かに埋もれているのは確かだが……以下、図書館の端末で「性暴力」検索して出てきた何冊かを紹介




加藤千香子・細谷実ed.『ジェンダー史叢書5/暴力と戦争』(明石書店2009/10/10)


暴力と戦争 (ジェンダー史叢書 第5巻)



第3部 4章 山下英愛 日本人「慰安婦」をめぐる記憶と言説 … 沈黙が意味するもの


目次


はじめに


1 日本人「慰安婦」とは


1 全体像 / 2 日本人「慰安婦」徴集の特徴 / 3 他地域出身者との違い / 4 娼妓出身が意味するもの


2 戦後日本の「慰安婦」言説


1 「慰安婦」の語られ方 / 2 鎮魂碑建立の訴え / 3 社会の反響 / 4 日本人「慰安婦」の不可視化


おわりに

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…… 「慰安婦」問題は、対外国人女性への性的暴力行為や戦時の残虐性という問題だけではなく、国家による女性の人権侵害につながる(男女の)性支配統制であるという意味でも、日本人「慰安婦」を被害者から除外してはならない問題である。言い換えれば、日本人「慰安婦」を被害者から除外する限り、この問題は決して解決しないだろう。


日本人「慰安婦」を被害者として認識するためには、他国に対して発動するナショナリズムのみならず、自国で作動し内面化されているナショナリズムを自ら解体する必要がある。そのような営為のなかでこそナショナリズムを乗り越えるということが、実現可能になるのではなかろうか。

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山下英愛[ヨンエ]
ツィッタ…http://twtr.jp/yy0902/


ヨンエの韓国ドラマCAFE…http://yeongae.blog.fc2.com/?m&cr=868108247c45e98d076a2447e8dd7df1





林博史・中村桃子・細谷実ed.『連続講義/暴力とジェンダー』(白澤社/現代書館2009/06/18)


連続講義 暴力とジェンダー



林博史: 講義5 日本軍「慰安婦」制度と米軍の性暴力/はじめに(p.186)より

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戦後の日本社会というのは、もちろん「戦争はいやだ」ということで拒否をしてきました。それはすごくいいことだと思うのですが、ただ「戦争というのは極限状態で人間性が失なわれるのだ」と言うことによって、結局「なぜ、戦争の中でそういうことが起きるのか」という分析を、ある意味で放棄してきた。そのため、ほんとうに「極悪」としかいいようのない人々をみな免罪してきてしまった。これはやはり、日本が、戦争責任の問題にきちんと取り組んでこなかったことの一つの大きな問題ではないでしょうか。



軍隊というのは、たとえば日本でいうと日本社会があって、日本社会が軍隊をつくるわけです。ということは、軍隊の有り様というのは、社会の有り様と非常に関連しています。社会の有り様が軍隊のあり方を決めていく。同時に、軍隊ができると、軍隊がまた社会に対して影響を与えていきますから、社会と軍隊とは相互作用であるわけです。…やはり「日常の我々の社会がどういう社会なのか」ということが軍隊のあり方と密接に関連しているのではないか。そうしたことを考えながら「戦時性暴力」も、戦争という特殊な次元の話としてではなくて、私たちの日本の日常の生活と関連しているのだということを念頭に置いて、お話ししたいと思います。

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