1948-05-01から1ヶ月間の記事一覧

中西功「國際主義と民族主義」出典

『中央公論』vol.63(No.5)通卷711号(1948/5) p.4-p.9

國際主義は自分への信頼である

最後に,國際主義と民族主義を見よう 今日,多くの日本人はこんな考え方をしている. たしかに保守の連中は國内政策ではあまり政策がない. しかし,特殊な國際的環境におかれた日本において,やはり對外問題の解決が急務であり,そのためには保守の連中もある種の…

日本と中國

今日,日本において昔のままの軍國主義宣傳はないが,しかし,民族主義はつよい力をもつている. 自由黨が「救國」を一枚看板にしたり,片山内閣が成立したとき,社會黨が保守との連立を合理化するために,獨特の民族危機論をあみ出したごときはそのよい例である. …

民族主義の侵略性と依存性

いままで日本人は「個人のことは犠牲にしても,とにかく國のこと,民族のことはよく考える國民だ」と考えてきた. それにひきかえ「欧米人や中國人などは,個人のことばかり考えて,國のことなどは考えない國民である」と教えられ,多くの人々がそう考えてきた. そ…

先進國の民族主義

私はここで日本の民族問題を全面的に取り扱うのではない. ただ,民族問題の取り上げ方についての一般的なことを考察して見たいと考えるのである 科学的な意味での民族ということが,資本主義の發生に關連し,また基本的[*1]には,それと運命をともにしていること…

中西功「國際主義と民族主義」『中央公論』1948年5月號 1/2

國際主義と民族主義 中西功 『中央公論』1948年5月號